「禍を転じて福と為す」
白澤は麒麟や鳳凰と同様「神獣」です。

白澤避怪図 (はくたく ひかいず)

白澤避怪図(はくたく ひかいず)とは

白澤は麒麟や鳳凰と同様「神獣」です。顔と背中の左右に三つずつ、計九つの目があり森羅万象に通じているとされました。
『白澤避怪図』は疫病除け・魔除け・旅の道中安全の御守りとして信仰されてきました。
戸隠に残る白澤の版木は現在2枚、宝暦13年(1763年)から文化9年(1812年)頃に彫られたか入手されたものと言われております。
その内の1枚がご覧頂いている当家所蔵の版木となりますが、背に板を打ち付けられ、元の板裏(裏書)はわかりません。
白澤避怪図は、上部に黄帝や禍の避け方の説明が書かれ、下部に白澤が描かれております。

中国神話時代の帝王黄帝が天下(全国)を巡って東海の浜に来た時、白澤が出現した。
白澤は君主に明徳がある時その姿を現す神獣で、言葉を話し、ものの真理に通じて、害を除く力を持つ。
白澤の出現は天地の瑞祥、めでたいことの前兆。もし怪奇現象があれば白澤の図を掛けるよう、鬼神の特長(怪の正体)と名を示し、
怪奇に出会ったなら、その鬼の名を七回唱えれば、怪は自滅し地中三尺にもぐって消滅、かくして禍転じて福となるとされる。

戸隠では白澤が神獣として
祀られていたことを示す貴重な絵図です。

戸隠山回峰行場絵図

戸隠山回峰行場絵図とは

高妻山は金剛・胎蔵両界の道場とされ、修験者の回峰修行の行場となっていました。熱烈な修験者の仏心は、文久2年(1862年)山頂に神鏡を奉納。また、大澤通りの山道を刈り分けて33回の入峰修行を成し遂げ、「先達」の称号を受けています。この絵図は、
その記念に描いたもので、地図上部に「高妻山神鏡」「両界山」、右下に「大澤通り地獄谷ニ下ル」「サイノ河原」、中央やや右下に「白澤御岩穴」の文字が書かれています。
この時代、戸隠では白澤が神獣として祀られていたことを示す貴重な絵図です。